当欄は、世に出回るありとあらゆる文字媒体――本はもちろん、新聞、雑誌、論文、報道資料など――を読み込んで、ものを考えてみようという試みの実験場です。
書物を通じて著者と読者が出あうことが、私たちの思考世界を広げてくれる。その醍醐味をお伝えできれば、と考えています。
題名に「本」ではなく「書物」という言葉を用いたのも、書かれたもののすべてを相手にしようという心づもりだからです。
振り返れば、当欄の原点は私が新聞社に在籍していた2010年4月、「本読みナビ」の名で始めた記者ブログにあります。2012年に「文理悠々」(ブック・アサヒ・コム)、2014年に「本読み by chance」と看板をかえながら、1週1冊の歩みをつづけてきました。
今回の改装では、これまでよりも自前度と自由度を高め、書物たちとのめぐりあいをゆったり綴っていこうと思っています。
どうか、ご愛読を。
尾関章